映画『私がビーバーになる時』の描写をビーバー好きが観た

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映画『私がビーバーになる時』を見た。

結論から言うと、とても良いビーバー映画だった。
公開日に観たものの、気持ちが溢れすぎて、文章にするのに少し時間がかかってしまった。

去年の夏に海外で公開が発表された時からずっと楽しみにしていた。
公開前には「歯の色が実物と違う」「前歯が出過ぎている」「指の本数も実際と異なっている」といった点が、ビーバー好きのあいだで話題になっていた。

いろいろ心配されていた部分もあったけれど、いざ始まってみると国内外のビーバー好きたちからもポジティブに受け入れられている印象。
ストーリーはもちろん、細かい仕草まで丁寧に描こうとしている作り手の姿勢が、ビーバー好きにも伝わったのかもしれない。

ビーバー好きとしてはうれしいポイントがたくさんあった。
ストーリーについては、すでにたくさんの方が書かれているが、ビーバー好きとしてはどうしてもこの『再現度』に注目せずにはいられなかったため、以下、気になったところをまとめてみる。

(※ストーリーの重大なネタバレは含みませんが、作品の設定やキャラクターについて軽く触れています。)

ここが凄い!ビーバー好きが唸った5つのリアルな再現ポイント

働き者な習性 まさに「Work like a beaver」

ビーバーたちが「仕事はパーティだ」と語る場面があった。

動物園などで飼育されているビーバーは夜行性のため、来園者の前では眠っている姿が目立つ。しかし実際には、長崎バイオパークの飼育員によると、1日に12時間ほど活動し続けることもあるという。

ビーバーは古くから勤勉の象徴とされており、英語にも「work like a beaver(ビーバーのようによく働く)」という表現がある。

お尻からバニラの香り?不思議な生態の裏側

ビーバーの王様が自分の油ぎった体をアピールしたり、友好の印として市長の髪の毛に油を塗りつけるシーンがあった。油を塗りつけられた市長が「バニラの香り」と言っていたのが印象的だ。

海狸香(かいりこう)、別名カストリウムは、ビーバーの香嚢(こうのう)から得られる香料である。
ビーバーはお尻の近くに一対の香嚢を持っており、内部には強い臭気を持つクリーム状の分泌物が含まれている。
これを乾燥させて粉末にした海狸香は、かつてバニラエッセンスの代替品として食品の香り付けや、香水、薬用に広く使われていた。

しかし本来、ビーバーはこれを尿などと混ぜ合わせてスプレーし、縄張りを主張するために使用する。
加工された海狸香は甘く香るものの、実際の野生のスプレー液は生臭いとも言われている。

なお、香嚢とは別に、ビーバーにはお尻の近くに肛門腺もある。
書籍『ビーバー: 世界を救う可愛いすぎる生物』(ベン・ゴールドファーブ著)によると、肛門腺の匂いには明確な雌雄差があり、「オスはモーターオイル、メスは古いチーズのよう」だと表現されている。

この肛門腺から出る油は肛門腺から分泌される油分は毛の防水(水弾き)にも使われ、彼らは自分で毛づくろいをするだけでなく、仲間同士で毛づくろいし合うこともある。
以前、動物園で毛づくろい中のビーバーに接近したことがあるが、特に匂いは感じなかった。
肛門腺を直接嗅がない限り、強い匂いが周囲に漂うわけではないようだ。

鳴き声のリアリティ「ムームー」に隠された本物志向

作中では、ビーバーの言葉は人間に伝わらないため、「ムームー」のような鳴き声で表現されていた。
これは実際のビーバーと同じ鳴き声で、動物園では食事中などによく聞くことができる。

尻尾と足の使い方、泳ぎ方の秘密

人間が近づいた時に尻尾で水を叩く場面があった。また「前足はリラックスさせて後ろ足だけ動かすんだ」と泳ぎ方を教えるシーンもあったが、これも実際のビーバーの生態と同じだ。尻尾はオールのような役割も果たしている。

「キーストーン種」としてのビーバーを描く意義

ビーバーはダムや池をつくることで多様な生物の住み家を生み出すため、生態系において「キーストーン種(生態系の維持に不可欠な種)」と呼ばれている。
森林火災の拡大を遅らせる効果も認められており、今作にはその研究を率いた生態水文学者のエミリー・フェアファックスも協力している。

「ビーバー警察」として気になった泳ぎ方の違和感

ただ、ビーバーがラッコのように背中を下にして浮かぶ泳ぎ方をしている場面が何度かあったのは、少し気になった。
「歯の色」「前歯の出方」「指の本数」と同様に、ビーバーの表情をよく見せるためのアニメ的な表現なのだと思う。今作については演出として十分理解できる。

実際のビーバーは目・耳・鼻が一直線に並んでいるため、顔の上半分と背中を水面に出して泳ぐのが基本である。

水中での回転時や、他のビーバーと遊んでいる時、浅瀬などで、仰向けで浮かぶ姿は観察できるが、いずれも一時的なものがほとんどだ。
仰向けで浮くこと自体は物理的に可能でも、ラッコのように仰向けのまま移動する泳ぎ方は日常的な泳ぎ方ではない。

映画に限らず市販のグッズなどでもラッコのような描かれ方を見かけることがあるので、改めてビーバーの泳ぎ方がもっと広まってくれたらうれしいなと思う。

公式アカウントの比較動画

公式インスタグラムが公開しているこの比較映像を見てほしい。
この動画を見ることで、作り手の努力と、本物のビーバーにしかない魅力の両方を、改めて感じることができる。

結論:ビーバーを知らなくても感動するし、知ればもっと愛おしくなる

実際、あまり期待していなかった家族も感動していたので、ビーバーを知らない人にもおすすめできる。ビーバー好きかどうかに関係なく楽しめる作品だと思う。

ピクサーのオリジナル作品が近年ヒットするのは珍しいこともあり、公開前はあまり期待する声が目立たなかったが、これだけヒットしているのも納得だ。
まだ観ていない人は、ぜひ大きなスクリーンでビーバーたちの映像と音を体感してみてほしい。

ただし、動物たちが人間を襲う場面もあるため、子供にとっては少し怖い場面もあるかもしれない。(映画館では多くの子供が楽しんでいる印象だった)

4月7日は国際ビーバーデー

映画を観終わったあと、きっとあなたも動物園に本物のビーバーを見に行きたくなるはず。

ビーバーデーには、ビーバー関連のイベントを行っている園もある。
この映画で興味を持った人は、ぜひチェックしてみてほしい。
(ビーバーは夜行性なので、寝ていてもそっとしておいてあげてください。)


気に入ってもらえたら

お読みいただきありがとうございました
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